
は不安でもありました。掲子は帰る途中私に、「店長さんに、笑顔がきれいねと言われたので、ありがとうございます。頑張りますと言いました」と話してくれました。
出勤の初日は、私も同伴し挨拶をすませ同じ職場の見学をさせて頂きました。職場の皆さんはみなよい方たちばかりのようで、お陰さまで二年余り経ちました。このごろではすっかり馴れて一生懸命に頑張っております。
その日の仕事の内容、お客さまの話などを毎日話してくれます。社会に出てから随分と声を出し、発音も少しはよくなり話をするようになりました。困りの方々も理解してくれるようになりました。
掲子も初めは大変だったと思いますが、くじけず乗り越えてくれました。ある目、掲子の休みの日、店に買物に出かけたとき店の方に、「いつもお世話になっています。ハンディがあっていつもご迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いします」と言うと、「よく働かれていますよ、笑顔がいいですよ、よく挨拶もされますよ」と話してくれました。私は、ただ嬉しくて涙が出そうなのをやっと我慢し、「ありがとうございます」と言いました。「職場は違うが、皆さん掲子のことを見ていて下さるのだ。少しはお役に立っているのだなあ」と、私は心が明るくなりました。そして、「育てて来てよかった」と思いました。
家に帰り主人にこのことを話しました。他人の心の優しさ、思いやりがこのときほどありがたく感じたことはございません。同じ職場の方もおっしゃいます。「加工の方はとても忙しく、きびしく言うこともあるけれど、腹も立てずいつもニコニコよく働かれます。汚れたところも
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